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 七月も半ばに近付き、暑さが日に日に増す中――
 冷房なんて設備は一部の教室にしかない学校内は、蒸し暑さで溢れ返っていた。
 理由は太陽のせいだけではない。

 夏休みが迫りくるという時期にも関わらず、 学生生活における一大イベントまでが同時に目前となり、 部活のない者はその準備に追われていた。  そのため、普段に比べ校舎内の人口密度がやたらと高い。

 二日間におよぶ当日とそれまでの準備期間など 行事自体を楽しみにしている者もいれば、 これが過ぎれば夏休みということに 早くも胸躍らせている者もいる。



 ――学園祭がやってくる。






CLAP*